イケメン小説家は世を忍ぶ
朝倉さんのPCに原稿を添付ファイルで送る。

「これで……完了だな」

小説家ー桜井建の最後の作品。

読者が結衣のように楽しんで読んでくれればいい。

売れるとか賞をとるとか……そんなことはどうでもいい。

自分が桜井建として七年間生きた証が小説として残っている。

これからは……本来の自分に戻ろう。

小説を書き終えて心が落ち着き、覚悟が決まった。

もう逃げも隠れもしない。

昨夜のニュースを見た限りでは、アメリカやイギリスだけではなく、セピオンの周辺諸国も今回のクーデターについては静観している。

コンラッド三世が悪名高き国王だったというのが一番の理由だろう。

国王が処刑されて当然というような流れにアーロンも持っていきたいに違いない。

だが、俺は……そんなの認めない。

人を殺して問題解決なんて……野蛮な人間のすることだ。
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