イケメン小説家は世を忍ぶ
「朝倉さんには、もう十分してもらいましたよ。結衣にも会わせて頂いて感謝してます。

朝倉さんの言う通り、彼女はいい刺激になりましたよ。いい娘ですね」

何でも全力で立ち向かう結衣の姿を思い浮かべクスリと笑う。

『ああ……自慢の……ケホッ……姪だ』

電話の向こうで朝倉さんが微笑んでいるのがわかる。

「お元気で」

俺は静かに朝倉さんに別れを告げた。

『君も……な』

朝倉さんは俺を気遣い優しく言葉を返す。

俺のことが心配なのだろう。

彼のことは血は繋がっていないが、第二の父のように思っていた。

「ええ」

朝倉さんの思いを噛み締めるように頷くと、電話を切った。

その後、テレビをつけてニュースを確認すると、朝倉さんが言っていたように明け方に俺が撮ったビデオメーッセージが流れていた。
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