あい。みつけた
「中村先生、週番ですけど、日誌持ってきました。」


デスクでパソコンに向かう先生に、後ろから声をかけた。


「ああ、そこ置いといて。ご苦労さま。」


先生は振り返りもせず、淡々と言う。


その姿にカチンっときた。


「先生、そういうことはちゃんと向き合って言ってください。」


私の言葉に、ちらっとだけ目を向けると、


「ああ」


とだけ言って、またパソコンに向き直ってしまった。


その態度に更に血が上る。


「先生!!生徒が嫌いなのは仕方ないけど、だからって、それでも、それなりの礼儀ってものがあるんじゃないですか!?」


思わず、一気にまくし立ててしまった。


でも、どうしても許せなかったんだ。


私に…生徒にきちんと向き合おうとしないことを。


私の剣幕に驚いたのか、先生は目を丸くしながら、今度はきちんと、こちらを向いた。


「やっとちゃんと見てくれましたね。」


頭に来てるから、ついイヤミっぽく言ってしまう。


「で、これで満足か?相田」


「なんで…」


どうして、名前知ってる・・の?


今まで一度も関わったことないのに。


先生はしっかりと私の目を見据えて、言った。


「どんなに生徒が嫌いだとしてもな、学期が始まる前には、一通りに生徒の名前を覚えるのが、俺のポリシーだ。」






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