あい。みつけた
昇降口の前で友兄と別れて、ふぅっとため息をつく。


開けた下駄箱の中には、案の定、無惨にも泥だらけになり、その役目を果たせなくなった上履きがあった。


……また、か。


もう何度目だろう。


悲しくない訳ではないけれど、でも一々落ち込んでいられないほど頻繁で、ある意味慣れっこになってしまったのかもしれない。


「別に悪いことしてないんだけどな…」


泥だらけの上履きを持ち上げながら呟く。


仕方ない、か。


一層のこと、友兄が『兄妹』です!と宣言してくれたらこんなことなくなるんだろうけど、友兄はそれを望んでいない。


だから、このまま。


私が我慢すればそれでいいなら、我慢する。


どこまで耐えられるかなんて、自信ないけど。
< 21 / 32 >

この作品をシェア

pagetop