あい。みつけた
クスクスと笑いながら通り過ぎていく、女子達の視線を背中に感じながら、気にしない振りをして昇降口横の水道で汚れた上履きの泥を落とす。


汚れを落としたところで、使い物になるかなんてわからないけど。

なんの罪もないのに八つ当たりされたまま捨ててしまうのは、あまりにも可哀想過ぎるから。



そうこうしているうちに、始業のベルが鳴る。


「あーあ。遅刻決定か…」

1限目サボっちゃおうかな。


そうしよう!と変な気合いを入れた時、


「遅刻か?それともサボリか?」


後ろからそう声をかけられ、ビクッとしながら振り返ると、


「新学期早々いい度胸だな」


腕組みをして、私を睨みつける中村先生がいた。



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