あい。みつけた
その後の授業は、最悪なことに、中村先生の数学の授業だった。


どうして、寄りによってこんなにすぐに数学があるのか、なんだか恨みたい気分。


淡々と進む授業に、どこか落ち着かなくて、ちっとも集中できない。


「はぁ…」


出るのはため息ばかりだ。


あの上履きのこと、先生はどう思ったんだろう?
逃げ出して、結局授業サボって、呆れているかな?


呆れられたと思うと、キュウっと胸が切なくなる。



どうして、またそんな風に思ってしまったのか、その答えはでないけど、先生に呆れられたり、マイナスのイメージを持たれるのが、なんだかイヤ。


教室に響き渡る先生のハスキーな声。


その声が心地よくて。


持て余した自分の感情をどうすることも出来ずに、私はいつの間にか、夢の世界へ意識を飛ばしていた。











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