俺に彼女ができないのはお前のせいだ!



仕方がないので、夜ご飯を食べた後。


さっさと部屋に戻っていった良ちゃんを追った。



「勝手に入ってくんなよ」


「どうして? 前までは普通に入れてくれてたのにー」



彼は、あたしをギロリとにらみつけてから、


やる気のなさそうにベッドに転がった。



「ねぇ、最近いろいろ大丈夫? 裕子さんも心配してたよ。成績、落ちてるんでしょ?」


「お前には関係ねーよ」


「だって、心配だから……」



ベッドのすぐそばにぺたりと座り込む。


良ちゃんはやっと横目だけであたしを見てくれた。



髪の毛が伸びて、少し大人っぽさが増した。背もどんどん伸びている。


ただ、くせ毛を上手くセットしているものの、寝転がったせいか左向きに髪の毛がはねていた。



ゆっくりとそこに右手を伸ばした。



だけど。



――パンッ!



前よりも骨ばった彼の手に、邪魔された。


はねのけられたあたしの右手は行き場を失う。



かと思えば……。



「……っ!」



急にぎゅっと強く握られ、引っ張られた。


寝転んでいる良ちゃんをのぞきこむ体勢になっていた。


< 121 / 269 >

この作品をシェア

pagetop