俺に彼女ができないのはお前のせいだ!




「…………」


「…………」



母も祖母も親父の死から立ち直ってはいるものの、


時々、我が家の食卓はお通夜ムードに包まれる。



沈んだ表情の母&祖母を横目にごはんをかきこむ俺。



テレビの朝ドラの音と漬物を噛む音だけがリビングに響いていた。



「あのさぁ……」



沈黙に耐えられず、俺は口を開いた。



「親父いなくなって辛いのは分かるけど、そろそろ母さんもばーちゃんも気分転換したら? ずっと家にいても気が滅入るだけじゃない?」



俺のぼそぼそした声が妙に響き、


母と祖母のはしの動きがピタッと止まった。



「朝からこんな暗い空気になるのマジやめてほしいんだけど」



そう続けると、



――ガチャン!



母がお茶碗をテーブルに勢いよく置いた。



「……だったらねぇ。母さんからも言わせてもらうよ。今までお父さんがあんたに厳しくしてた分、ずっと我慢してたけどね。とうとう言わせてもらうよ!」



「はい!?」



急に大量の火の粉が俺に向かって飛んできた。

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