俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
「やっぱ同時進行はダメだよね?」
「…………」
「のぞむくんは体育会系で、こじまくんは文化系って感じ」
「…………」
「見た目も、のぞむくんはワイルド系で、こじまくんは可愛い系?」
カリカリとシャーペンを動かしてはいるものの、
後ろからの雑音のせいで集中できない。
「のぞむくんは元カノが結構ヤンキー系で、こじまくんは今まで彼女いたことないっぽいんだよね。迷うなぁ~」
パキッと、長めに出したシャー芯が折れる。
「あーーーうるせぇ。のぞみだかこだまだか知んねーけど。好みの方選べばいーべ?」
「だからぁー選べないから迷ってんじゃん」
仕方がないので椅子を回転させ、アリサの方向を見た。
彼女はベッドから起き上がり、スマホの写真を眺めている。
のぞむとこじまも、どっちも見た目は悪くないらしい。
「じゃあ明日世界が崩壊すんなら、最後に一緒にいたいのはどっち? それで決めりゃいーじゃん」
「うわ、でたぁ! 中2病っぽいやつー」
俺は現役の中学2年生じゃ! と言い返す前に、
「そう言われるとどっちも違う気がするんだよねー」とアリサはつぶやいた。
「あたしが地球最後の日に一緒にいるのは、たぶん、良ちゃんだし」
スマホを眺めつつ、ぼそりとアリサはつぶやく。
「…………」
そう言われると、何も言い返せないし、
何も、反応ができなくなる。