俺に彼女ができないのはお前のせいだ!


しばらく経って、嗚咽がおさまった頃。



「ふふっ」



体を通じて伝ってきたのは、彼女の笑い声。



「何笑ってんの」


「だって、良ちゃん、どきどきしてるから」


「……悪い?」


「ううん。かわいい」



かわいい発言にムカッとしたため、


「かわいいのはお前じゃん。無駄に見た目だけ」


と嫌味っぽく伝えると、ぎゅっと腕がつねられた。いてぇ。



「あのさぁ、そんなんだから良ちゃんは彼女できないんだよ」


「うるせーな」


「……でもそのままでいいよ」


「あ? 何か言った?」



聞こえなかったため、腕をほどきながら聞き返す。



すると、アリサは顔を上げ、


「なんでもないよー」


と涙目のまま、可愛らしい笑顔を向けてきた。



全身がびくつきそうなほど、胸が震えた。



目が腫れ気味で、メイクも取れかけなのに。


普段よりも作られていないのに。



本心で嬉しいと思っていそうなアリサの表情に引き込まれそうになる。



慌てて視線をそらした。



危なく、キス、しそうになったから。






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