俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
バカにされたのかと思い、一瞬だけむっとしてしまったが。
「良一くんのそういう純粋っていうか変に真面目なとこ、私好きだなぁ。はは……っ」
安っぽいパスタからあがる湯気を見ながら、エナさんは嬉しそうに言った。
ほんの少し、瞳がうるんでいるように見えた。
やべ。俺、また女を泣かせてる!?
もしかして兄弟を亡くしていたのは、本当だったのか!?
取り返しのつかない発言をしてしまったのかと思い、ビビりまくる俺。
「見る?」
対するエナさんはスマホをいじり、俺に手渡してきた。
その画面に映っていたのは……。
「こっちがお兄ちゃん、こっちが弟ね。すっごく好きだったんだぁ。私が高校生の時にどっちも死んじゃって」
「…………」
「ねー、お兄ちゃんの方、どことなくカツヒコくんに似てない?」
「……そうっすかねぇ」
「で、良一くんはこっちに似てるの」
エナさんは目を細め、楽しそうに語ってきた。
スマホに写っていたのは……
2匹のトイプードルだった。