俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
☆
とれかけパーマがミックスされたくせ毛をセットして、
シャツの上2つのボタンをあけ、ネクタイをゆるくしめ、
ひじの下まで袖をまくり、制服ズボンは嫌味のない程度に腰ではく。
うーん。俺、割とイケてる方だと思うし、女子から嫌われてはいないと思うんだけどな。むしろ告白されたことも何回かあるのに。
柳井良一、高校2年生、いまだに彼女なし。
「いってきます」
ガッ、ガラガラと昔より音が鳴るようになった玄関ドアを開ける。
自転車の鍵をポケットから取り出した時。
ちょうど向かいの家からも、バタン、と扉が閉まる音が鳴った。
「あ、良ちゃん。おはよう」
このシーンは数えきれないほど経験してきた。
ゆっくり顔を上げる。
もちろんそこにいるのは、ふわりとした笑顔を向けてくるアリサ。
「ん、おはよ」
俺はクールに挨拶しておいたが、内心めちゃくちゃ動揺していた。
だってさぁ……
――『良ちゃん、大好き』
あんな妙な夢見たんだから仕方ないっしょ!!!
何となく目をそらせないでいると、
ローファーの音を鳴らし、アリサが近づいてきた。
「どうしたの? ぼーっとして」
「や、別に」
「ちょっと赤いよ。もしかして熱ある?」
心配そうな顔でアリサは俺に手を伸ばしてきた。
「……っ!」
その指が頬にふれてきた時、本当に体に熱が走る感覚がした。
振り払うように顔をそむけた。