俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
高3と大1
☆
「え、シンガポールにいたんですか?」
「そうそう。だから三回忌行けなくて。すっかり遅くなっちゃった」
親父の元部下である尾家さんは、「柳井さん久しぶりです」と言い、仏壇のりんを鳴らし、手を合わせた。
相変わらず、親父は鋭い目を俺らに向けてくる。
でも、その奥には相手を想う気持ちがあったことを後で知った。
「良一くんももう高3かぁ。かなりカッコよくなったねー」
「え。そうっすか?」
「あの時は思春期まっさかりって感じだったよ」
「恥ずかしいんでその話はパスで……。あ、コーヒー淹れてきますよ」
いやいや、格好良くなったのは俺じゃなくて尾家さんの方だ。
親父が倒れた時、ボロ泣きしていた姿とは正反対。
海外勤務を経て、出世もしたらしく、自信に満ちあふれたいい表情をしている。