俺に彼女ができないのはお前のせいだ!







窓を開け、向かいの家の窓を眺める。


見慣れたピンク色のカーテンは、1年に数回しか明かりを発することはなくなった。


俺の部屋も、これからはそうなる。


できるだけひんぱんに帰ってこようとは思うけど。



「ちゃんとご飯食べるのよー。あんたの好きなカルシウムたっぷりヨーグルトも定期的に送ってあげるから」


「アリサちゃんに逃げられないよう頑張るんだな。あと、ゴムはちゃんとつけるんだぞ~」



「あーはいはいはいはい! じゃあ行ってきます」



家を出る時はさすがにしんみりするかと思ったけど、


母も祖母もいつも通りで逆に嬉しかった。




高校を卒業した俺は、大学へ行くために東京で一人暮らしをすることにした。



べ、別にアリサを追いかけたわけじゃないぞ。


その証拠として、アリサとは別の大学だし、俺の学部があるキャンパスはなんと埼玉だ!



受かったのはたまたま法学部だが、親父を追いかけたわけでもない。


すでに地に足がついてないヤツの背中なんか追わないぞ。


法律は勉強しておいて損はないらしいからなっ。



仕送りはなるべく使わないよう、自分でバイトして生活費を稼ぐつもりだ。



もちろん講義はサボらず出ようと思うけど、


他にもバイトしたり、サークルに入ったり、大学生活でしかできないことも楽しんでやるつもりだ。



卒業後、社会で活躍できる人になって、今までお世話になった人たちに恩返しができるように。



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