俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
☆
窓を開け、向かいの家の窓を眺める。
見慣れたピンク色のカーテンは、1年に数回しか明かりを発することはなくなった。
俺の部屋も、これからはそうなる。
できるだけひんぱんに帰ってこようとは思うけど。
「ちゃんとご飯食べるのよー。あんたの好きなカルシウムたっぷりヨーグルトも定期的に送ってあげるから」
「アリサちゃんに逃げられないよう頑張るんだな。あと、ゴムはちゃんとつけるんだぞ~」
「あーはいはいはいはい! じゃあ行ってきます」
家を出る時はさすがにしんみりするかと思ったけど、
母も祖母もいつも通りで逆に嬉しかった。
高校を卒業した俺は、大学へ行くために東京で一人暮らしをすることにした。
べ、別にアリサを追いかけたわけじゃないぞ。
その証拠として、アリサとは別の大学だし、俺の学部があるキャンパスはなんと埼玉だ!
受かったのはたまたま法学部だが、親父を追いかけたわけでもない。
すでに地に足がついてないヤツの背中なんか追わないぞ。
法律は勉強しておいて損はないらしいからなっ。
仕送りはなるべく使わないよう、自分でバイトして生活費を稼ぐつもりだ。
もちろん講義はサボらず出ようと思うけど、
他にもバイトしたり、サークルに入ったり、大学生活でしかできないことも楽しんでやるつもりだ。
卒業後、社会で活躍できる人になって、今までお世話になった人たちに恩返しができるように。