俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
選んだのは、東京のはじっこの街にあるマンション。
部屋はせまいけど、都会すぎない場所で家賃も安い。
一息つきたいものの、引っ越し業者に運んでもらったダンボールが床に並んでいる状態。
さっさと片付けて部屋を作ろうと思った、その時。
――ピンポーン。
安っぽいインターホンの音が響いた。
嬉しさのあまり口元がゆるみそうになったが、こらえながら玄関へと向かう。
ドアが開くとともに、外からの光が差し込んでくる。
逆光になったシルエットが、目が慣れるにつれはっきりと姿を表していく。
「えへへ。さっそく来ちゃった」
懐かしいような甘い香り、
茶色に染まった長い髪、うわずった声。
そして、大きな目をやわらかく細めた、可愛らしくてまぶしい笑顔。
胸が苦しくなるほど、嬉しさと愛おしさがわきだしてきた。
「……うん」
「えーそれだけー? テンション低っ。もっと喜んでよー」
いいじゃんカッコつけたって!
ウェーイ! とか突然喜ばれても困るだろ!
俺を訪ねてきたのは、地元にいた時よりも、大人っぽくなったアリサだった。