俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
☆
小さな頃から、ずっとお人形さんみたいな気持ちだった。
お母さんもお父さんも、あたしのことをすごく可愛がってくれて、ほしいもの何でも買ってくれて。
みんなも可愛いって言ってくれて、かっこいいなーと視線を向けた男の子はだいたいあたしを好きになってくれて。
「アリサの髪の毛、つやつやで本当うらやましい~」
「えーそんなことないよー」
まあ、美容室でトリートメントもしてもらってますから。
「4組のさなだくんが、アリサのこと好きらしいよ!」
「うっそー。だって最近まで他の子と付き合ってなかったっけ?」
話したこともないのに、どうして好きになってくれるんだろう。
「期末テスト、学年1位って、すごいじゃないか」
「アリサは本当に、お母さんの誇りの娘だわぁ」
「たまたまだって! 今回トップの子が風邪ひいてただけらしいし」
昔、優秀な家庭教師をつけたりして、あたしをそう仕立てあげたのはお父さんとお母さんでしょ?
とてもありがたい日々を送っているんだろうけど、時々空しいなって思う時がある。
本当のあたしは、どこにいるんだろう。
だからかな。
『何。その理由、マジしょーもない』
いつもあたしを目の敵にしてくる、幼なじみの男の子――
良ちゃんは、あたしにとってかけがえのない存在。