俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
「お前はゼロベースでやり直す必要があるんじゃないのか? それとももうスキームは作ってあるのか? 明確にビジョンを示せ!」
ちょっ。言ってること意識高すぎて意味わかんねーよ!
あーはいはい結果にコミットすればいいんすか?
「えっと……」
しかし、ここで中間テスト学年5位以内になります! って言ったところで、頑張っても学年7位が俺のベスト。
ヘタに高い目標を言ったら、達成できなくて結局はまた怒られるんだ。
目の前では親父が俺をにらみ続けている。
簡単に逃してはくれない。
立ち向かい続けなければいけない。
でも、たぶん俺は限界なんだよ。これ以上頑張ったって、どうせ頭も運動神経もよくならない。
所詮、俺なんかこんなもんなんだよ! もうやめてくれよクソ親父!
心の中に嫌な気持ちがぐつぐつと沸いてきた、その時。
――ピンポーン。
インターホンの音が鳴り響いた。
「はーい」と母が小走りで玄関へ向かう。
「あの、これ母からなんですけど、よかったら皆さんでどうぞー」
張り詰めていた緊張感がゆるんだ。
玄関から聞こえてきたのは、アリサの声だった。