俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
「あらあら、高そうなやつじゃない」
「いいえ~夜ご飯お世話になってますので。これすっごく美味しいんですよ」
「あらぁ。そんな気を遣わなくてもいいのに。お母さんにありがとうって伝えといてね」
「わかりましたー。じゃ、おやすみなさーい」
母が戻って来ると同時に、チョコレートのいい香りが食卓に漂った。
高川家――アリサがくれたのは、濃厚そうなチョコブラウニー。
うおおおお、これデパ地下で有名なやつじゃん。最高だぜ神様アリサ様天使様!
だがしかし。
親父との話は、まだ終わっていなかったらしい。
「おい、これを食べたかったら、早く目標を言え」
甘い匂いがどんどん俺の脳内を侵食していく。
うわあああ、そのブラウニー早く食いたい。
えーい! こうなったら!
「中総体ではスタメン入って、中間テストは5位以内入ります!」
……言ってしまった。
学年5位って完全に未体験ゾーンなんですけど……。
「そうか。じゃあ達成できなかったら半年間お小遣いなしだぞ」
「はい……」
親父の嫌な言葉とともに、ようやく俺は解放された。
やべぇ、このブラウニーくっそ美味いわ。
しかし、どこか涙の味がまざってる気がする。お小遣い半年無しになるかも。これマジやばいやつや……。