今夜、愛してると囁いて。




「香澄さん。可愛い名前ですね」


そう言って差し出された手と、相手の顔を交互に見る。

光を反射して赤色にも見える茶髪に女の子のように白く薄ピンクがかった肌がよく映える。片側だけ横髪が耳にかけられているのでいくつか空いているピアスホールがよく見える。

よくいるノリの軽そうな大学生。
バイトの時はピアスを外すくらいの常識はあるらしい。


「握手、してくれないんすか?」


求められた手を見たまま考え込んでいるとそんな声が降ってきて、私は慌ててぎこちなく笑いかけた。


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