今夜、愛してると囁いて。


ピンポーン――


玄関呼び鈴の音に驚いて、私は跳ね起きることになった。

どれだけ寝ていたのか、窓から外を見れば空は赤く染まっている。携帯で時間を確認しようとそれを手に取ると、もう一度呼び鈴が鳴り響いた。


「はーい……」


かすれた声で精一杯返事をしたけど、聞こえただろうか。

ベッドから起き上がると朝よりは身体が軽く感じて、少しは体調がマシになったらしい。
それでもまだ体温が高いことには変わりはないようで、ふらつきながら玄関に向かう。


「はい、どちら様……」


熱で判断力が鈍っていたのか、開ける前に誰が来たのか確認するのを忘れてしまった。


それを後悔することになるのは、数秒後。


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