今夜、愛してると囁いて。
一話
噂のアルバイト君
街外れにある小さなカフェ。
そこは朝は出勤前のサラリーマンが足を運び、平日の昼間から夕方にかけてはお喋り好きな主婦で賑わう。土日祝は若いカップルのデートスポットになったりと、それなりの繁盛を見せている。
「香澄ちゃーん、ドリンクお願い」
「はーい」
キッチンから顔を出したパートの主婦のおばさんに軽く返事をする。
あたしは専門学校を卒業してから医療事務員として働いていたが、2年間働いて退職した。原因は職場のお局に目を付けられて居心地が悪くなったから。それだけだ。
それから5年以上ここで正社員として働いている。