今夜、愛してると囁いて。
「一人じゃ寂しいくせに。」
「……」
耳元で囁かれ、頬を撫でられる。
伊月くんが本当に何を考えているかわからない。出会った日からすごく距離を詰めようとしてくるし、今もこうして看病みたいなことをしに来るし。
「香澄さん、本当に彼氏いないんですよね」
「……う、うん」
素敵な彼氏が欲しくないと言えば嘘になる。
でもこんなひねくれた可愛くもない歳だけ食った女を好いてくれる男性なんて、そうそういない。
チャンスがあれば、とは思うけど。
「なら、いいですよね。」