今夜、愛してると囁いて。
夕方の業務引き継ぎが終わり、制服から私服に着替えて更衣室から出ると、あたしに気が付いて伊月くんはスマートフォンを操作する手を止めてこちらに駆け寄ってきた。
そのまま伊月くんがあたしの隣を確保したのを横目に確認して、夕方勤務の人達に挨拶をして裏から店を出る。
「近くのスーパー寄っていい?材料買わなくちゃ」
「もちろん。荷物持ちは任せてください」
伊月くんに何が食べたいかと聞くと、即刻で「肉」と返ってきた。さすが若者。
肉料理と聞いて、あたしはもっぱら魚派だから何を作ろうか悩む。
うんうん唸りながら歩いていると、唐突に伊月くんが顔を覗き込むようにしてきた。