今夜、愛してると囁いて。


「香澄さん、手繋ぎません?」

「嫌。」

「けちー」


飼い主に遊んでもらいたい犬みたいにはしゃいだ様子の伊月くんにあたしは冷たく吐き捨てた。何で付き合ってもいない、しかも年下の男の子と手を繋ぐんだ。


「腕を組むのは?」

「もっとダメ」

「キスしたいです」

「殴り飛ばすわよ」


間髪入れずに提案を却下された伊月くんは少しだけ落ち込んだ顔をしたあと、すぐに拗ねたように唇を尖らせた。


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