今夜、愛してると囁いて。


「それ以上のことは、するくせに……」


その呟きに、あたしは驚いて顔を上げた。

伊月くんはいたずらが成功した子供みたいな顔で笑って、あたしの手を握った。


「ちょっと、手……」

「あーあー。聞こえなーい」


そう言いながら、指同士が絡められる――いわゆる、恋人繋ぎだった。


何であたし、こんなにドキドキしているんだろう。


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