今夜、愛してると囁いて。
食欲をそそるこんがり焼き色のついた肉の塊の上に、溶けたチーズとデミグラスソースが仲間入りして香ばしい匂いが立ち込める。
我ながら美味しそうなハンバーグができた。
付け合せのサラダを透明なボウルに盛り合わせながら、リビングでテレビを観ている伊月くんをキッチンから顔だけを出して呼ぶ。
「ごめん伊月くん、ちょっとお手伝いしてくれる?」
「あ、はーい!今行きまっす」
パタパタと音を立てながら伊月くんがキッチンの方に向かってくる。
あたしは自分の後ろにある食器棚を指さして、顔をだけを伊月くんに向けた。