今夜、愛してると囁いて。


「ご飯盛ってテーブルに置いてくれる?」

「はーい。お茶碗でいいですか?それともファミレスみたいにオシャレに平皿に盛ります?」

「家のご飯にそこまでオシャレ感はいらないでしょ」


あたしが笑いながらそうツッコミを入れると伊月くんも大きな笑い声を上げて、それもそうですねと言いながらお茶碗を二つ取り出した。


「そういえば、香澄さん一人暮らしなのにお茶碗二つあるんですね。マグカップとかもそうだし」

「え?あ、ああ……」


聞かれたくなかったその質問に、あたしはハッキリとは返答せずどうにか濁そうとした。

けれど頭の良い彼が相手。すぐに理由はバレてしまった。


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