今夜、愛してると囁いて。
「……ごちそうさまでした。長居するのもアレなんで、俺もう帰りますね」
何秒かの間のあと、空になったマグカップを持って伊月くんが立ち上がる。
あたしは思わずえ、と声に出して驚いて顔を上げる。
「このあとのこと、期待してました?」
意地悪にそう笑うから、あたしは顔を真っ赤にして首を横に振って否定する。
「あはは。香澄さん、ほんと可愛いですね」
伊月くんはそう言って、あたしの頭を軽く撫でた。