今夜、愛してると囁いて。


「疲れた時には甘いもの、ってね?」


伊月くんのカバンからごっそり出てきたお菓子の山を両手に握らされる。


「え、何これ?」

「俺の勉強のお供です。講義長いんでめっちゃ腹減るんすよ。暇だし」


教科書や筆記用具、厚めのファインダーと一緒に持ち歩いているらしい。

あたしも学生時代は学校に寝に行くか友達とお喋りしにいくかで真面目に授業を受けていなかったのであまりうるさくは言えないけど、それでいいのか大学生。


「香澄さん、今日すごい疲れてるみたいだったんで。良かったら」


赤、緑、ゴールドとカラフルな包装紙に包まれた一口サイズのチョコレート菓子に視線を落としてから、顔を上げる。


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