今夜、愛してると囁いて。
「あー!香澄ちゃん信じてないわね!?」
「佐藤さんの言う"イケメン"はあまり信用できませんからね……」
思い返せば彼女がかっこいいと騒ぐのはテレビの向こうでブサイクと仲間内でいじられているような芸人や、やたらとアゴひげだけが濃い中年太りのおじさんばかり。
今までの佐藤さんのイケメン語りを思い出して思わず遠い目をしてしまった。
「確かに私の趣味は悪いわよ?でも今度はみんなのお墨付きなんだから!ねえ、幸ちゃん?」
自覚はあったらしい。
私は佐藤さんに唐突に話を振られたその子に顔を向けた。