今夜、愛してると囁いて。
「は?両想いってこと?」
混乱した伊月くんの声が頭上から振ってきたかと思えば、脇に手を差し込まれて足が地面から離れた。
「わっ……!?」
「どうしよう、香澄さん、俺今めっちゃ嬉しい」
抱き上げられて手持ち無沙汰になった手を伊月くんの肩に乗せれば、そのままの状態で抱き締められた。
「い、伊月くん……」
「キスしていいですか?」
そう言って地面に下ろされて、戻ってきた平衡感覚によろけるけど伊月くんが腰に手を添えて支えてくれたので倒れることはなかった。
「ダメ」
「何で?」
近づいてくる整った顔から逃げようとすれば、手首を掴まれる。
あたしは首をブンブンと横に振って全力で拒絶する。