今夜、愛してると囁いて。
「どうも、伊月 梓(いづき あずさ)です。4月で大学4年になります」
今日は開店からの出勤ではなく、遅番といって夕方から閉店までの出勤となっていた。
いつも通り制服に着替えてホールスタッフが待機するカウンターに出向けば、出勤早々大きく口を開けることとなった。
この間噂されていたイケメンの新人アルバイト君。正直あまり期待はしていなかったのだが、興味が全くないかと言われたら嘘になる。
「……は、じめ、まして。相川 香澄(あいかわ かすみ)です。ここの正社員です」
あたしがもごもごとどもりながらそう言えば、伊月と名乗った男の子は透き通るような綺麗な茶色の瞳を細めてにっこり笑った。