蒼姫様は、守られません!!~完~
風稀さんは私を抱き締めて笑う

まるで笑ってみせて、とでも言うように


それが最後に見た風稀さんだった






私に刺さるはずだったナイフは風稀さんの背中に深く刺さっていた






泣きたかった...でも、泣けなかった

這うようにして、かろうじて意識のある六花さんがこっちに来てたから

力の入ってない手で私の手を取ってにっこり笑って...





「大好き..よ...、愛桜ちゃん..

もし...、会うことが...あっ..た.ら立騎のこと...宜しく..ね...

ありがとう...」





座り込んで私の手を自分の頬に当てて穏やかに笑う六花さんと

横になり目を閉じて同じように笑う風稀さんがそこにはいた


風稀さんはさっき私が寝かせた

彼もそっちの方がいいと思うからって六花さんが力なく言うから


そうして六花さんは私の腕の中で眠るように息を引き取った





「六花さん、お礼を言うのはこっちだよ...

ありがとうね...」
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