夢の中で君を描く
チャイムが鳴る少し前、目が覚める。
丁度CDも終わった所だ。
「あと三分くらいあるけど、寝てもいいし何してもいいです。チャイムが鳴ったら自由に終わって下さい。」
先生優しい。
一度起きたらもう目が醒めたから、ルーズリーフに簡単に絵を描く。
動きのある絵が描きたくて、アクション漫画に出てくるような男のキャタクターに、パンチをさせた。
こういうの久しぶりに描いた。
「相変わらず上手いな。」
チャイムが鳴り、雄大が俺の机を覗き込む。
「なぁ、今度俺描いて‼︎」
自分を指差しながら笑顔を向ける。
「考えとく。」
「うわ、ぜってぇ描かねーな。」
ムスッとした顔で見てくるから、
「わかった、今から描くよ。」
って言った。
さっき描いたルーズリーフの裏に、適当に棒人間を描いて、これ雄大って言って渡す。
「うわー!スッゲェ似てるわ、っておい!」
ノリツッコミ、やば。
可笑しくて、腹を抱えて笑う。
「じゃあこれお前な。」
さっき俺が描いた棒人間の隣に、いつの間にか違う棒人間が。
「おい。」
何が気に食わないかって、棒人間って事より、実際は俺の方が少しだけど身長高いのに、この絵では雄大より小さい事。
だから米粒みたいに小さい棒人間を描いて、やっぱりこれが雄大ってことにした。