Arist
プロローグ
自分はどうして生きているのだろう?
両親が育ててくれたから?
では何故育ててくれた?
子孫を残すため?
自分の血を、生きた証を遺すため?
1つ、異議がある。
親子の愛…無条件の愛などとは
良く言ったものだ。
たった今、それが自己の利益の
為であるという証明を、私は
自分との問答で得た。
勿論、全人類に当てはまるわけでは
ない事は知っているが、大部分は
これに当てはまるはずである。
素直な人間というのは、自己の非情さ
を隠さぬ人であろう。
元より人などの価値は、己が贄とする
家畜の類より低いはずだ。
豚などは5.6年でモノになる。
狼など、捕食者の餌かはたまた
家族でも築くだろう。
それに対して、人間はどうだろう?
20.30年も費やして、マシになる人間
のほうが少ない世だ。
そのくせ、まるで自分は神にでも成ったかのように振る舞う者。
それは生物的に、最も愚な者だ。
自己の無知を自覚した人とは、
比べものにならない。


…こういうふーに、何かやたらと
否定的なことねちねち言うのを、
「ニヒリズム」ちゅーらしいね。
でもまぁね、だから言うて
「お前が世界変えられるんか」
いうたら閉口するしかないからねぇ…
結果最優先のこの浮世で、
生きて行けるのかね…
ま、大丈夫だろ。
飯食って寝る。それだけだからね。
それがどれだけ大変かは、
やって見なきゃ分からんこと
だけども…

アリスト11歳 マーカス国立学校課題文
「ニヒリズムと生活」より
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