Destiny ─ 運命 ─


翔の姿を見つけることが出来ないまま花火を見る所の場所取りへ。


花火開始のアナウンスを待ちながら空をずっと眺めていた。


かなりぼーっとしてたと思う。


周りの声が自然と自分の耳へと届いていた。


「じゃーあっちいこー?」


その声は翔じゃなかったけれど。


翔と一緒に来ている友達の声だった。


という事は翔もいるはず。


私は全力であたりを見回した。


もう既に7時半を回っていて、暗くて人影を見るのもあやしいほど。


その中で翔を見つけられるなんて自分でも思ってない。


けど


少しでもいい。


声だけでも聞ければいい。


終業式から聞いていないあの声を、姿を。

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