Destiny ─ 運命 ─
寂しい冬
"受験生"
CMでもその言葉をたくさん聞くようになった。
落ちないはずだけれど、気を抜いたら落ちてしまう。
すれすれのところに私はいた。
定員は15オーバー。
田舎の私のところでは珍しいくもないけれど少し珍しい。
最近はほぼほぼ全員収まっていたから。
翔は私の1つ下の科にいた。
私は何度もそっちに移そうとしたが、やりたいこともあったため移すことをためらった。
皆が受験受験と騒いでいる。
教室はピリピリとした感じで
休み時間いつも体育館を使って遊んでいた人たちは
塾の宿題を進めていた。
そんな中、花は余裕とでもいうかのような態度で
私の席の前に座り振り返って翔の話を続ける。
最近はその話を相手にするのさえ面倒くさくなっていた。
性格の悪い私は、高校落ちてしまえとさえ思ってしまった。