Destiny ─ 運命 ─
時が流れて、気づけば受験前日。
ここまで来るのにいろんなことがあった。
我慢しなければいけないこと、もの。
イライラや不安。
たくさんの困難を超えて、ここまで来ることが出来た。
この日は午前授業のみで
その後には明日受験をする学校へと下見へ行った。
私の科は普通科で、3階だった。
その奥に、翔が受ける情報ビジネス科があった。
…私はこんな時でも翔を探してしまう。
それが当たり前と化してきていた。
「…々。……奈々。……奈々!」
私の呼ぶ声が聞こえた。
というよりは、その声色に反応してしまった。
「翔……?」
振り返るとそこには翔が立ってた。
「普通科ってその奥?」
「…え?あぁ、そうだよ!」
「おっけ。ありがと!」
…場所の確認しただけか。
受験をする生徒達が大勢いる中で、私を呼んだ。
私を見つけて声をかけてくれた。
…なんて、ロマンチックなものじゃないけど笑
私にとっては御伽の国の王子様に見えたんだよ。