Destiny ─ 運命 ─


時が流れて、気づけば受験前日。


ここまで来るのにいろんなことがあった。


我慢しなければいけないこと、もの。


イライラや不安。


たくさんの困難を超えて、ここまで来ることが出来た。


この日は午前授業のみで


その後には明日受験をする学校へと下見へ行った。


私の科は普通科で、3階だった。


その奥に、翔が受ける情報ビジネス科があった。


…私はこんな時でも翔を探してしまう。


それが当たり前と化してきていた。


「…々。……奈々。……奈々!」


私の呼ぶ声が聞こえた。


というよりは、その声色に反応してしまった。


「翔……?」


振り返るとそこには翔が立ってた。


「普通科ってその奥?」


「…え?あぁ、そうだよ!」


「おっけ。ありがと!」


…場所の確認しただけか。


受験をする生徒達が大勢いる中で、私を呼んだ。


私を見つけて声をかけてくれた。


…なんて、ロマンチックなものじゃないけど笑


私にとっては御伽の国の王子様に見えたんだよ。

< 23 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop