Destiny ─ 運命 ─
桜舞う春
時間が解決してくれるなんてずっと信じてなかったけど
けど
あれ以来、花とは全然話さなかった。
受験が終わってから1週間。
仲のいい友達はたくさんいたけれど
どうしても気を使って話してしまう。
それが嫌で、私は最後の最後に1人になった。
1人は苦手な方じゃなかったけど、やっぱり花が離れていった毎日は寂しかった。
それから2日くらいたった頃。
卒業式まであと3日。
話しかけてきたのは花の方からだった。
「ごめんね奈々。奈々の気持ち考えないで馬鹿なことして。」
本当に申し訳なさそうに話す花。
「…大丈夫だよ。」
…なんて、まったくの嘘だよ。
でも、私は花のことが大切なんだよ。
大好きなんだよ。
恋愛関係で仲悪くなりたくないよ…。
素直に花のその言葉が嬉しかった。
「…翔がね、奈々のことについて話してたの。正直、めっちゃむかついたし、ウザイって思ったけど。翔がね、『奈々と喧嘩でもしたの?奈々がねー、花とはずっと仲良しでいたい。大好きだから。って言ってたよ。なんかあったのかは知らないけど、仲直りしたら?』って」
涙止まらなかったよ。
大好きが溢れちゃい過ぎて。
「…奈々?好きなんでしょ?隠さなくていいよ?ごめんね。花、大人気なかった。子供みたいなことしちゃった。奈々が好きならもちろん諦める。ほら!言わないと翔とっちゃうよ?!1番そばにいたのに、奈々が誰を好きとか、わからないわけないでしょう?花にとって奈々は1番大切なんだよ?」
「…好き。翔も花も大好きだよ…。」
「……うん!知ってる!花も奈々大好きだもん!」
花は笑いながら泣いてた。
『綺麗だな…』
ここの中でそうやって呟いた。
花の泣いた笑顔が綺麗だった。