誰よりも遠い貴方…
……私をやっと見付け出してくれた。
笑って駆け寄ってくるハルサン。
私の顔を近くで見た瞬間。
彼は優しく
「どした?」
私はただ首を横に振り
「なんでもない…」
彼いわく
初めて逢ったわけではない私達だけど
私の何も知らない彼に…
彼の何も知らない私に…
何でも言える程、私は決して素直な人間ではない。
素直に言えば、素直に話しを聞いてくれそうな彼だけど、私は決して素直な人間ではない。
夜の仕事を始めて身についた事の中に[裏切り]もあったから
素直な人間
とは掛け離れた人格になっていた。
何も言いたがらない私に彼は
また優しく
「そっか。」
私の気持ちを分かったかのように言うと
「冷たいお茶、飲むでしょ?…買って来るね。」
私の返事も聞かず
ハルサンはまた駆けて行った。
懸命に探してくれて
探し出すと
その子の為にまた走って
自販機を探して…
一連のハルサンの行動を思うと笑っている私が居た。
さっきまで泪してたのに
ハルサンのお蔭で私は笑ってた。