ウェスター国戦師(いくさし)の書。~優しい追憶~
とんでもない任務 (イサキside)
「貴方に一つだけ、確認しておきたいことがあります、シンラ」
ウキョウさんのその言葉で、ようやくシン兄の腕締めから逃れられた。
全く……力の加減を知らないのかよ。
照れ隠しもほどほどにしといて欲しい。
「何ですか?」
「大人の事情ってのが今の貴方なら、多少は分かるでしょう。
女一人で生きていくことが、いかに過酷でしんどいか。
ちょほほいっと調べさせてもらったら、貴方のお母さん。
実家を飛び出しての駆け落ちだったそうですね。
つまり、彼女には帰る場所がなかった……」
「……ちょほほいの域、軽く越えてませんか……?
ええ。
父さんの方も、俺がまだ小さい頃に祖母が死んでそれっきりです。
だからあの人……本当に孤立してしまったんです。
そこに、優しくされたら……まあ、ねえ。
しょうがないかな。
いや、息子としちゃアレですよ、あくまで第三者的に言ってますけど」
「それでも彼女は、貴方にはもう顔向け出来ないと思った……根が真面目で純粋なんでしょうね。
……では、もう。
彼女を認めてあげられますね?
手を差し伸べることが出来ますね?」
シン兄は即答した。
「はい……!」
ウキョウさんのその言葉で、ようやくシン兄の腕締めから逃れられた。
全く……力の加減を知らないのかよ。
照れ隠しもほどほどにしといて欲しい。
「何ですか?」
「大人の事情ってのが今の貴方なら、多少は分かるでしょう。
女一人で生きていくことが、いかに過酷でしんどいか。
ちょほほいっと調べさせてもらったら、貴方のお母さん。
実家を飛び出しての駆け落ちだったそうですね。
つまり、彼女には帰る場所がなかった……」
「……ちょほほいの域、軽く越えてませんか……?
ええ。
父さんの方も、俺がまだ小さい頃に祖母が死んでそれっきりです。
だからあの人……本当に孤立してしまったんです。
そこに、優しくされたら……まあ、ねえ。
しょうがないかな。
いや、息子としちゃアレですよ、あくまで第三者的に言ってますけど」
「それでも彼女は、貴方にはもう顔向け出来ないと思った……根が真面目で純粋なんでしょうね。
……では、もう。
彼女を認めてあげられますね?
手を差し伸べることが出来ますね?」
シン兄は即答した。
「はい……!」