ウェスター国戦師(いくさし)の書。~優しい追憶~
「……場所分かんのか?

お袋さん、行方不明なんだろ?」


珍しく(あ、本音が……)ケイ兄が、しごくもっともな質問をした。


ケイ兄冴えてるぅ、とか思ったんだけど、ウキョウさんもシン兄も既に自分の思考の遙か先をいっていた。


シン兄は、ケイ兄に苦々しげに返す。


「ウーさんが。

何もしてないでこんな無理難題ふっかけてくる訳ないだろ?

調べがついてるから言うんだよ。

ちょほほいっと調べちまうんだから。

……違いますか?」


「さすが、察しが皆さんとは違いますねぇ。

アルミサッシもびっくりです。

苦労しましたよ~割り出すのは。

まあ、私の手にかかればチョチョイのドンですが。

で、その場所もまたびっくりなんですがね、実は……」


「俺も……大方予想はついてます、あくまで勘ですが。

なんでチョチョイの後が爆発音なんですか……

ウーさん、個人情報保護については、どのように考えてられますか?」


「ほほぅ!

またどうして知ったのでしょう?

ハッタリは私には通じませんよ?

……ちなみに、知る権利、監督権について貴方はどう思ってますか?」


「……知る権利の意味も使い方も、多分に違う気がするんですけどね?」


「おやおや。

些細なことを気になさってると、若くして禿げますよ?

まあ、その際はよきパートナーに禿げ増してもらって下さい?」


「……今のイントネーション、俺の聞き間違いでないのなら。

きっと、凄い字をあててらっしゃいますね?」


「いやぁ、そこは貴方の。

類い希なる想像力にお任せすることにいたします」


……相手の手中にはまって、またもや話が脱線しかかってますよー、兄貴分……


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