甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋
さっきまでの突き上げるような気持ちは、跡形もなくなくなっていた。
ユアンはくしゃっと髪をかきあげると、とん、と足先で椅子の足を蹴りながら
乱暴な口調で言う。
「おい、こんなところで寝てたら、風邪をひくだろ」
だが、フィーネは目覚めない。
「ちぇっ、さっきは目を開けたくせに」
そう文句を言いながらも、そのままにはしておけず、ユアンは
そっと椅子を引くと、フィーネを起こさないように、ゆっくり
と抱きあげた。