甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

 ユアンの説明にも彼はなかなか頷かなかった。

 眉間にシワをよせ、難しい顔でテーブルを見つめている。

 ゴードン氏が渋っているのは、多分契約書の内容を知られたくないからだ。

 テグサ織り工房の人たちの弱みに付けこみ、ひどい条件で
 交わしたものだから。

 それがわかるから、ミルズ男爵......ユアンはあえて軽い調子で言葉を続けた。


   「きちんと交わしたものがあると、確かめれればいいんですよ。
    内容は問いません」


 ゴードンがやっと顔をあげる。

 瞳に迷いの色を浮かべながらも、彼ははゆっくりと頷いた。



   「わかりました」

   「そうですか、早速ですが、明日ここで見せていただくわけには
    いきませんか」

   「いいでしょう、お持ちします」

   「ありがとうございます」
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