甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

 唖然とその様子を見ているゴードン氏。

 突然の出来事に、フィーネもただ唖然と濡れた上着を見つめた。

 やけくそ気味にカップを差し出しただけなのに、こんなに上手くいくなんて。

 その時、



   「大丈夫ですか?」


 と落ち着いた、ユアンの声がして、フィーネは、はっとなった。

 そうだ、ぼうっとしている場合じゃない。



   「紅茶がかかってしまいましたわ、すぐに拭き取らないと」


 そう促して、ゴードンを立ち上がらせる。

 ソファの横に誘い、さりげなくソファテーブルに背を向けるようにさせ、
 上着を脱ぐのを手伝う。

 脱がせた上着を持ち、ゴードンとともに再びテーブルの方をむけば、
 ミルズ男爵が、床に転げたカップを拾い、こぼれた紅茶をふきとって
 いるところだった。

 木箱はかわらず、ソファテーブルの上にある。

 なにも変わっていないようにみえるが、すり替えは上手く
 いったのだろうか?

 確かめるわけにもいかず、気がかりを残しながらも
 ” 上着を綺麗にしてきますから ” と言い置いてフィーネは、部屋をでた。

 
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