甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋
売り言葉に買い言葉で会話は喧嘩腰だけど、ペンリスにきてからの
鬱いだ気持ちはどこかに吹き飛んでしまい、フィーネの胸は
どこかに羽ばたいていきそなくらい軽い。
だって、ユアンと一緒に、ミシュナーを祝うんだもの。
別に熱烈な愛がなくったってかまわない。
二人でオーナメントを選び、これから毎日一緒にオーナメントをリースに
飾るということは、身近にいる親しい存在だからできること。
「エリザは病弱な女の子なんだからな」
「わかっています、お兄様」
わざと ” お兄様 ” を強調して言えば、ユアンはくすっと笑った。
いつかジャブロウのマーケットを歩いた時のようにフィーネは
ユアンの腕に手を沿わせて歩いた。
あの時は無意識だったけど、今はユアンに触れていることを意識
せずにはいられない。
回している手がなんとなくぎこちない。
時折身体が触れ合うのが、なんだかくすぐったい。
少し寒くなったからと、カフェに入りお茶の飲む。
そのうちフィーネは周りの女性客が、ちらりちらりとこちらを見ていることに
気がついた。
ユアンを見ているのだ。
ただ座っているだけで、絵になる人。
紅茶のカップを口へと持っていく姿、飲み物についてきたナッツ入りの
クッキーをつまむ姿。
今朝、朝食を食べている時も思ったけれど、ユアンの動作は洗練された貴族
のものだ。
そりゃ貴族を演じているわけだから、当たり前かもしれないけれど。
それにしたって......。