甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋
「レナルド、本当に私でいいの?」
「もちろん、近いうちに一度故郷へ帰って、母にそのことを
相談するつもりだ」
「夢みたいだわ」
「そうかい? それをいうなら僕の方こそだよ。故郷を遠く離れた
ここで、まさか天使に出会えるとは思ってなかった」
「天使だなんて、おおげさね」
そう言って苦笑いをするイリーナの手を握り、手袋越しにだが
口づけをする。
「おおげさでもなんでもないけどね。でも、お父様にとっては天使
に違いない君を、遠くへ攫っていこうってわけだから、まだ家族
には内緒にしてほしいな」
「エリザさんにも、内緒?」
イリーナの問いに、ユアンは少し戸惑った。
「......ああ、内緒だ、誰にも内緒。二人だけの秘密」
「わかったわ」
そう呟いて、イリーナがさらに身を寄せる。
レナルド......ユアンは抱く力を強めて、イリーナの耳許で囁いた。
「だから、あれも内緒で持ち出してくれないかな」
しかし、イリーナは顔をおこすと、きゅっと美しい眉をひそめた。