甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

   「あるとき、僕を買った男のコレクションのひとつを持っている
    貴族にあった。なぜか?って言われてもこまる。ただ、その宝石
    を僕の手で、自由にしたかった、だから盗んだ。
    興奮したよ。それからだ、僕がやつのコレクションの行方を追う
    ようになったのは。
    全部のコレクションは無理だから、やつが本当に大切にしていた
    五つだけを狙った。でも、盗みじゃ限界がくる。
    だから姿を変える力をつかって、今のやり方にした。

    娘の身上に傷がつくから、結婚詐欺にあったっていうことを貴族は
    隠したがるからね、警察沙汰になることはまずない。
    好都合だったよ、貴族っていうやつは、つくづく無駄なプライド
    の塊だと思ったね」

   「ボルドール家の宝剣もコレクションだったのね、今度の
    ブルー・サファイアも」

   「そう、宝剣は男の失踪の後、ボルドール伯爵が買い戻していた。
    君の従兄弟の結婚持参金は、ある男からコレクションの情報を
    得るために仕方なく......。
    そして、今度のブルー・サファイアで最後だ。
    曰く付きの宝石、その宝石の持ち主は、なぜか死んだり、失踪したり
    すると言われている。
    僕を所有していた男もこの宝石を手にいれた後、いなくなった」

   「そんな危ない宝石を狙っているの!」



 フィーネは思わず、すごい力でユアンの腕をふりほどくと、振り返っていた。

 ユアンはびっくりしたような顔でフィーネを見ている。

 髪は短く、オルセン伯爵ではないユアンがそこにいた。



   「だめよ、そんな宝石を手に入れないで!」



 いつものフィーネの剣幕にユアンはくすっと笑う。



   「だいじょうぶだよ、すぐに手放す。なんなら、エインズワース子爵に
    返してもいい。子爵のところにあるときは、宝石は大人しくしている
    ようだから」

   「どういうこと?」

   
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