甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋
フィーネは、はっとした。
ユアンはどうなったのだろう、彼は取り込まれなかったのだろうか。
「この中にいるのは私だけ? 他に人はいないの?」
「あそこだ」
そう少女が指差せば、目を閉じ横たわるユアンの姿が見えた。
フィーネは駆け寄ろうとしたが、見えない壁のようなものに阻まれ
近づけない。
髪は短くなり、ユアンは元の姿にもどっていたが、フィーネがいくら
名を呼んでも、ぴくりとも動かなかった。
「死んでいるの?」
「息はある、だがもう目覚めない」
「そんな......」
へなへなと座り込んだフィーネを見て、次に横たわるユアンに視線を
投げかけた少女は、なにか眩しいものでも見たかのように、ふっと目を
細めると ” 同じものをもっているんだな ” と呟いた。
「恋人なのか」
「違うわ」
力なくそう言ったフィーネの言葉に、少女はすこし考え込むように黙ったが
くっと口の端をあげると
「助けたいか?」
と言いながら、フィーネのそばに屈みこんだ。