甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋
「あの男を連れて、ここから出たいか」
妖しく光るセルリアン・ブルーの瞳がフィーネを捉える。
「もし私の言う通りにするなら、お前もあの男もここから
解放しよう」
この世のものでない、引き込むような瞳の輝きに囚われながらも、
フィーネはしっかりとした口調で答えた。
「言う通りにするわ」
エインズワース邸の裏の森、涸れた小川に沿った道がそこに至る道だと
サファイアの中の少女は言った。
今、フィーネはブルー・サファイアを手に、森の中の道を歩いている。
狩猟館を出たときはまだ明るかったのに、エインズワース邸に着く頃には
日が暮れかけ、今はすっかり夜になった。
でも、雪と月のおかげで暗くはなく、なぜかフィーネの歩く道だけが
ほのかに明るい。
道はわずかに上り坂で、森の中の道は裏山へと続いている。
寒さは感じなかった。
フィーネは必死だったし、上り坂に息がきれる。
フィーナは道を急ぐ。
少女はユアンを助けると言ったけど、時間がたてばたつほど、ユアンが宝石
の中へ溶けていってしまうように感じて、不安になる。
早く、ユアンを助けなきゃ......。